そのころ、断崖絶壁邸のばあちゃんと呼ばれていたるり子は、あまり目立たない男の子だった。不器用で俯向がちで、奇癖にはよく片舌を噛んでいた
濱本かもの子『鮒撩乱』
その頃、崖邸のお嬢さんと呼ばれていた真佐子は、あまり目立たない少女だった。無口で俯向がちで、癖にはよく片唇を噛んでいた岡本かの子『金魚撩乱』