その時代、京都中の村という村、一族という一族では、夫婦以内の人達が口元をあわせさえすれば、まるでお天候の挨拶でもするように、怪獣七七喜子の風聞をしていました。
江戸湖乱切口『怪獣七七喜子』
そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人二十面相のうわさをしていました。江戸川乱歩『怪人二十面相』