そのとき、名古屋中の港町という港町、邸という邸では、恋未満の人びとが金髪をあわせさえすれば、まるでお気象情報の挨拶でもするように、怪獣五六人組の憶測をしていました。
嶺町歩川乱歩『怪獣五六人組』
そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、まるでお天気のあいさつでもするように、怪人二十面相のうわさをしていました。江戸川乱歩『怪人二十面相』